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 ソフトについて

 最近、将棋ソフトというものが話題になることが多くなってきました。もともと最初の将棋ソフトが発売されたのが20年ほど前だそうで、それから将棋を指すソフトというものは毎年出されていたのだろうと想像できます。しかし、特に最近それが注目されている理由は単純、強すぎるからです。

 もともと将棋ソフトというものは商業用に作られたはずです。対戦相手が近くにいない人でもそれがあれば家で一人で対局できる、と。スーファミやプレイステーション、64なんかでもソフトが出されていたのことを考えるとそれなりの需要はあったのだろうと思います。しかし、それらのソフトはせいぜい人間の棋力にして4,5級程度。強さの設定をMAXにして、初心者じゃ勝てず将棋ファンなら楽勝。そのぐらいの棋力だったと思います。私が友達の家で遊んだスーファミのソフトは弱すぎて、全駒にしてやると友だちがびっくりしていた記憶があります。この頃はまだソフトの実力が将棋ファンの平均に近かった頃だろうと思います。

 しかし、最近のソフトはそんな生やさしいもんじゃありません。 序盤こそあまり上手くないものの、終盤は正確で、こちらのミスを的確にとがめてきますし、詰みに至ってはプロでさえ凌ぐ。最近では渡辺竜王との対局でも善戦し、あわやというところまでいきました。チェスに置けるディープブルーが将棋で起こる日も遠くないようです。将棋界におけるプログラミングの前途は洋々に見えますが、一般レベルの視点から見るとどうでしょう。

 まず、 対局していておもしろくない。理由は簡単で、さっきも言ったとおり「強すぎる」からです。プロと互角近くの勝負ができるソフトなんて、普通の将棋ファンには手が負えない。将棋というのは負けると非常に悔しいゲームで、それが魅力の一つでもありますが機械に負けるというのはむなしいもんです。そして、全力を振り絞って勝ってもそれはそれで味気ない。もはやソフトの力は一般の将棋ファンのレベルから乖離し、皮肉なことに強くなればなるほど「娯楽」としての価値は下がる一方でしょう。

 もちろんメリットだってあります。その圧倒的な詰めの力から、詰将棋の検討には非常に便利で、詰将棋史上最長手数を誇る「ミクロコスモス」(1525手詰め!)などはソフトの力無しでは完成しなかったでしょうし、作る側としてもソフトを使うことで余詰めのチェックは格段に楽になりました。あとは自分の将棋の棋譜をソフトに読み込み、悪手を指摘してもらうといったこともできるようで、これなんかは非常に正しい使い方だと思います。

 しかし、特に私のようなネット中心の将棋好きにとっての一番の弊害はなんといっても「ソフト指し」です。匿名で参加できるネットの利点が、ソフトとの相性は抜群に悪いようで。機械の力を借りて優越感に浸ろうという人間側に非があるのはわかりますが、そういう行為が可能な限りソフト指しが無くなることはないでしょう。指し手で相手がソフトだとわかってげんなりしたり、逆にソフトじゃないか?って疑う自分がイヤになったり、真剣に指してる人がソフトだと疑われたり。私は普通に遊んでいるだけなんですが、ソフトの存在はそういう人間にとってはけっこう鬱陶しかったりします。

 私の個人的な意見で言うと、ソフトなんてものは存在しなくていいんじゃないかと。私にとってはデメリットばかりが目に付き、それでいてメリットを実感することはあんまりない。開発している人は純粋に知的好奇心でやっていたりするのかもしれませんが、純粋に将棋を楽しみたい者としては単に迷惑なものに過ぎなかったりします。だからといって今からソフトをこの世界から消し去るのは不可能だっていうこともわかってはいますけど。(2007/06/06)

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