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 dcshyi伝説

 将棋倶楽部24というサイトがあります。そんなの当然知ってるよ、という人が多いと思うけれど、数年前にそこで突如現れた「dcshyi」という人物をご存知でしょうか。これまた有名な話だから知っている人も多いとは思いますが。将棋倶楽部24(以下24)では匿名での対局が可能で、その場合仮の名前をつけたIDをそれぞれが持ち、そしてお互い相手の素性を知らないもの同士が対局する。この匿名というのがミソで、プロ棋士もかなりの数の棋士がこの24を利用しているらしい。多いときには一日に3000人の人が同時に入場することもあるこのサイト、その会員数は数万人にのぼるそうで。その数万人の中でも伝説となっている人物、それが「dcshyi」。

  この24では初めて来た人が自己紹介するシステムなんてないから、新参者の出現はいつも突然。新しく登録したIDにはR(レーティング。その人の強さの目安となる数字)の横に「?」マークが付くから、みんなこの新入りの力はどんなものかと注目する。高段者となればなおさらです。たまに非常に高いRで申請しておきながら、実力がそのRに見合わずぼろぼろ負けていく人もいる。多分、?マーク付きの人に期待するのはそういうのを見る楽しみも幾分か含まれているんだろう。しかし「dcshyi」はそれとは全く逆で、数年前に突然高段タブに現れるや強豪相手に勝ちまくった。しかもただ勝つだけではなく内容もすごかった。気付けばその当時はRが2800に達している人すら数えるぐらいだった時に2900を達成。それでも勝ちまくり、夢の3000越えの期待までかかった。そんな時24のトップページに「dcshyi」の名前が載り、管理者の久米さんが「デクシ」と読んだことから、いったいなんて読むのか分からなかった24の人たちの間でも「デクシ」で定着した。

 たまにネットに出没する最強の棋士。その噂は広まり、「ヒカルの碁のsaiみたいだ」という話をみんなしていた。噂はプロの間でも話題になったらしく、将棋専門の月刊誌である将棋世界に載ったらしい。その内容は「dcsyhi」の正体は「あの人物」ではないかというもの。「あの人物」といえばもちろん将棋界最強の男、羽生である。これまたファンの妄想を膨らませるには十分すぎるほどだった。そして前人未到のR3000を達成。24で指す人の間でその正体が話題の的となっていたが、3000を達成し直後にお役御免とばかりにぷっつりと現れなくなった。結局真相はわからずじまいに終わってしまいました。

 その後、デクシさんの記録は次々と抜かれて最高Rも今や3084にまで到達したけれど、いまだに彼が最強だと思っている人は多い。かくいう私もその一人。今24の最高R保持者はsakitamaさん。もちろんこの人が弱いなんていうつもりはない。というか強すぎるぐらいにメチャクチャ強い。それでも、sakitamaさんは非常に美しい将棋を指す人で、その一手一手には非常に納得させられるものがある。指し手が非常に棋理に適っている感じがするのだけれど、言ってみればだいたいの手は理解できる範囲なのだ。「なるほど」と思わせられることが多いが、それは指し手の意味が分かることが前提である。それに対してデクシさんの指し手は、たまに「ん?」と思うことがある。それはだいたい予想にない指し手で、はっきり言うと全く意味がわからない、理解不能な手であることも多い。でも、メチャクチャ強い。なんだか底が知れないといった感じで、デクシさんには凡人の理解を超えた強さがあった。

 ますます正体が気になるのだけれど、プロの誰かが正体を明かしたという話も聞かない。けっきょく「羽生」というのが希望的観測もコミで一番有力な説になっているが、そんなデクシさんにはもう一つ謎がある(そんなに大したことじゃないけど)。24のトップページを見てもらえば分かるけれど、左のほうに24の最高R保持者の欄がある。言ってみれば100m走の記録保持者みたいなもので、レコードホルダーの名前が記載されている。しかしこれ、以前は新しい記録が生まれると、前の記録保持者の名前は消され、新しい人がその上に書き換えられていた。では今はどうかというと、3000点を越えてからというもの記録を更新した人の名前がずらりと表のように並んだ形になっている。3000点突破以降は記録を抜かれた人の名前も残っているわけ。で、その最初に3000点を突破した人はもちろんデクシさん。24の管理者が「dcshyi」の名前を記録として残したがっているのは明白だ。

 そんなことを考えると、本当に正体は羽生さんなんじゃないかという気がしてくる。でもまあ、正体がわからないほうがロマンがあっていいかな。なんにせよ、デクシの名は24に現れなくなってからもちょっとした語り草で、伝説みたいなものになっている。そんなデクシさんの棋譜、なんとここで見ることができます。宣伝するつもりじゃないけれど、実はこのコラムを書いたのもこのページを発見してちょっとした感激があったからだったりする。私もまだ全部の棋譜を見たわけではないけど、見始めるとなかなかやめられない不思議な魅力があります。(2007/06/13)

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